●予備役制度
国の継戦能力を支える最も重要な基盤は、現役の人的損害を補充するための予備役制度です。しかし我が国社会の軍事教育や訓練は現在全くのゼロですから、予備役制度は事実上存在しないといえます。
それに近い形が予備自衛官制度ですが、「元自衛官が事実上ボランティアで登録している」というのが我が国の予備自衛官制度の実態です。
有事の際に国が「組織的な防衛能力」を継続する力を「継戦能力」といいます。
優先順位に基いて具体的にいいますと、予備役の確保、作戦資材(燃料や弾薬)の備蓄・集積・輸送能力の保持を意味します。
広いくくりでいえば「民間防衛、通信・交通網の整備確保、損害発生時の復旧能力」など、緊急時の国家の危機管理体制も含まれます。
諸外国と比べてわが自衛隊では、弾薬の保有量も少なく、人的側面にあたる予備要員(予備自衛官・即応予備自衛官・予備自衛官補)は総計でわずか50000名程度というお粗末な状況で、そのうえ予備自衛官補にいたっては防衛招集の対象外です。
防衛招集の対象となる予備自衛官は後方支援任務につき、前線に出る資格があるのは退役幹部と即応予備自衛官です。しかし、マンパワーとして最も重要といえる即自の体制は今後7000名体制へと半減することになっています。
ちなみに近隣某国では、予備役は100万を超えています。
諸外国で予備役といえば即応予備役が普通といわれています。訓練期間も当然多いわけですが、これには民間の「予備役制度の重要性と練度維持のための訓練」に対する理解と協力が不可欠です。
しかし、今の日本社会では、訓練のため会社を休む予備自・即自への理解が少なく、彼らおよびその家族に対する生活保証が全く与えられていません。国防に対する社会の成熟度が普通の国と我が国とでは全く違います。
勘違いしている人が多いようですが、日米同盟は日本を守る(国防)のための軍事同盟ではありません。
あくまで国家戦略上必要な大国とのつながりであり、米にとっては「日本にある米権益を守る」というのが日米同盟の意義にすぎません。
日本が攻撃されたから直ちに米軍が駆けつけてくれる、ということは「絶対に」ありません。
あくまで、独立国家日本の軍である自衛隊が非常事態に対処するのです。
重要なのは、この段階でいとも簡単に戦闘能力が麻痺するようでは、周辺国に対する抑止効果に甚大な影響が出ることです。
ちなみに隣国では、アヘン戦争で継戦能力の実態を世界に暴露して以降、「眠れる獅子」としての軍事的抑止効果はなくなりました。それ以降世界各国は、われ先にと軍事恫喝を加えて権益を獲得し、かの国は植民地になってしまいました。
我が国の継戦能力が低いと判断された場合、最悪、「こんな国守る必要があるのか?」と同盟国である米にまで疑念を持たれ、米軍の支援を受けること能わず、ということも想定されます。周辺国の対日政策も根本的に変化するでしょう。
継戦能力を筆頭で担保する「予備役制度」はことほど左様に重要なのです。
社会風土が「コスト計算、金儲けにしか目が届かない人たち」ばかりで予備役を養う余地がないのならば、税金で予備自衛官や予備補、即自そしてその家族の生活保障をしてでも予備役制度を定着させる必要があると考えます。
自分の国は自分で守るのだという気概のなさ、予備役・軍事に関する民間の無知、国家に対する意識の成熟度が十分ではない社会、を如実に示す鏡が予備役制度の実態であると考える次第です。
自衛隊には就職できないが、国を守るためなら喜んで軍事教育・訓練を受けたい、という若者は多数いると思います。
予備役制度で、彼らの受け皿を制度として作り出すことも大切と思います。
(参考)
・「防衛問題の基礎知識」防衛問題研究会編 H8
・「H17 防衛白書」 防衛庁 H17
・「国防用語辞典」防衛学会編 S55
・「ひらやんのブツクサ独り言」
・予備自、即自の読者の皆様からいただいたこれまでのメール
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